2005年3月2日
2005年3月2日
ドクターズベイに開院させていただき9ヶ月あまりが経過致しました。街の片隅にある小さなクリニックですが、地元の方々にも少しずつ認知していただき、検診業務と不妊治療で忙しい日々を過ごさせていただいております。
不妊症治療を行っていて不思議に思うことは、「人工授精を6回してだめでした」とか、「体外受精でもだめでした」と来院される方が多い中で、必ず月に一人は「からだの状態が分からないので、もう一度最初から検査をしてみましょう」と再検査を行っている周期に、いきなり妊娠が成立してしまう方がいらっしゃることです。「原因が幾つかわかりましたよ」と説明している途中で、「先生、まだ生理が来ないのですが・・・」と言う経過を辿り、周囲の歓喜の中、「はたして自分のクリニックはこの患者さんに何をしてあげられたのだろう」と思わず自問自答してしまいます。
とはいえ、このような経験は珍しいことではなく、これがまた人体の不可思議でもあると考えています。コンピュータの世界には、「リセット」とか「リスタート」とかいう言葉があり、行き詰まった時、混乱した時、簡単にやり直しが効きますが、人の世界ではそう簡単には行きません。人間関係や過去の経歴(治療歴)が大きな障壁として立ちはだかることが問題のようですが、「子宝の湯」に代表されるような心理的変化や環境変化は、不妊治療を行う上である種のメリットをもたらしてくれることは確かなようです。
当クリニックの不妊治療の基本は、出来るだけ同じ治療の繰り返しは避けると言うことです。これは、「タイミング→人工受精→体外受精」と言ういたずらなステップアップ治療ではなく、例えば排卵誘発剤のクロミッドの使い方にしても排卵および妊娠に向けて十数通りの使用法があり、個々人にあった使用法の検索が妊娠への近道と考えていいることと、上記の環境変化をほんの少しでも治療過程に加えて行くと言う主旨から行っているものです。